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2025年10月23日

シャネル職人たちの手仕事に圧倒される「la Galerie du 19M Tokyo」

シャネル職人たちの手仕事に圧倒される 「la Galerie du 19M Tokyo」

六本木の森アーツセンターギャラリーで開催しているシャネルのエキシビジョン
「la Galerie du 19M Tokyo」
へ行ってきました。

なかなか目に触れる機会のない「CHANEL」の作品が、予約必須とはいえ無料で間近に見ることができるのです。
正確には、シャネルが設立した「le19M」というアトリエと、日本人の職人たちとのコラボレーション、そしてシャネルの仕事を請け負っている工房「ルサージュ」の展示という3本だてみたいな感じ。
しかも、職人の手仕事にフォーカスしているというのであれば、興味も増すというもの。
見所ありすぎて写真多いです(クリックで拡大表示されます)。
公式ページ「la Galerie du 19M Tokyo」はこちら

時間泥棒の出張アトリエ「le19M」

52階のエレベーターホールを出て会場に入ると、
見渡す限りに天井から職人の作品のかけらたちが吊り下げられています。

その下にはle19Mに属する職人たちのワーキングデスクが再現されていて、
その隙間を縫うように移動する人、人、人。
「吊り下げられている物も作品となっております、触れないようにお願いします」
と言われても、手で触らないようにはできても完全にかわすのは難しくて、荷物を引っ掛けないようにするので精一杯でした。

可能なら周りでクルクルしている作品の一つ一つもじっくり眺めていたいのですが
職人たちのデスクを探検するだけでもあっという間に時間が溶けていきます。

靴職人、帽子職人、刺繍職人、生地サンプルを織る人、
この道具は何に使うんだろう?
パーツを構成している素材の量がえぐい。
ギャザー加工された色々なテクスチャはどう折ってるの。
縫製ど素人の私は興味津々です。

スタッフさん「この先まだまだ展示ございます」

わかってるんだけど、もうちょっとだけ…

日仏職人たちのコラボと癒し空間「フォレスト」

先へ進むと、機織りの実演ブースがあり、縦糸の間をちぢれ麺のような糸と、リボンを潜らせていく職人の手仕事はとても見応えがありました。 (機織りの動画はこちら
そして日本の職人さんたちとのコラボレーションエリアへと続きます。
暖簾一つ、壁を彩るテキスタイルや紙細工一つ、畳の縁一つとっても気が遠くなるような細工の数々は目を見張るものばかりです。日本人は匠の技を持つ人が多い印象なので、今回のコラボはとても相性が良かったのではないでしょうか。

パノラマビューで景色抜群の和室を横目に、「フォレスト(森)」エリアへ。
ここでは木を模したウロの中に作品を忍ばせたり、ツイードの端切れで作った動物がいたり、木の根元を見れば、枯れ葉や苔をイメージしたデザインの端切れが散りばめられていたりと別のワクワク感が味わえる空間でした。

鱗のようなスクリーンのパーテーションを抜けようとすると、スタッフさん
「展示はここで半分ほどです」

えっ、まだ半分!?  時間が全然足りません。
職人さんのインタビュー見たかったけど映像ブースは諦めて、次行きます。

スケールが凄い! 作品アーカイブ映像

きちんとテキストを読んでいなかったため、よくわからないままアバンギャルドなウィッグの展示作品と生き物のようなテント?の間を後にし
いよいよ、工房「ルサージュ」の世界へ。
目の前にドンと入ってくる「LESAGE」の文字は、よく見るとそれぞれツイードの種類が異なっていて、こだわりを感じます。
最初のブースはルサージュとココ・シャネルの関係性について、動画を交えながら洒落っ気たっぷりに紹介してくれています。

ここで白状しておきますと、午後ラストの回に訪れた際には時間配分を誤り(スタッフさんの声掛けがあったにも関わらず)、終盤は気持ち駆け足で見るはめになってしまいました。
また、撮影OKだったのにカメラを持って行かなかったのをとても後悔したので、おかわりすべくその帰りの電車で別の予約を取ったのでした。
ここに載せている写真は、ほぼリベンジ回に撮影したものです。
スマホでは彼らの手仕事の凄さを拾いきれておらず、もう一度行って大正解でした。
時間的に薄暗かった最初のアトリエも明るい時間帯で堪能したかったし、
夜と昼の両バージョンのフォレストを体験できたのも良かったです。

余談を挟みましたが、次のアトリエブースに進みます。
作品が生み出される現場を再現した展示は、仕事場にお邪魔している感覚でとても楽しい!
壁にかかっているツイードは、冒頭のアトリエで作られていたサンプルと同じものかな?
この工房では、ピンと張った生地の裏にスパンコールやビーズを縫い付けていくリュネビル刺繍という手法が使われているそうで、裏返さないと仕上がりがわからないなんて不思議…でも、職人さんからしたらなんてことはないのかな。

時間も押していたので(2回目にしてもなお)、後ろ髪を引かれながら次の映像ブースへ。
作品のアーカイブを紹介している映像がとてもユニークで面白かったです。(動画はこちら

これまでの展示内容で見てきた職人たちの仕事ぶりと熱意を目にした後なので、
彼らの作品を前に圧倒されてしまった時の衝撃ってこのくらいのスケールで凄いんだよ、と伝わってくる気がしました。

私的アーカイブ・ルサージュ作品

以降は、オートクチュールや装飾品などの作品における、ルサージュによる刺繍とテキスタイルがこれでもかと披露され、多段パンチをひたすら浴び続けます。
その凄さは一目瞭然。百聞は一見にしかず。
なるべく作品のぱっと見の印象とディティールの細かさを比較して載せてみましたが、伝わるでしょうか?

最後のインスタレーション「Murmuration」

「murmuration」はムクドリなどの鳥が群れをなして空中で行うダイナミックな動き、特に群れ全体が急旋回したり、渦巻いたりする様子を指す言葉だそうです。

たくさんの刺繍を施されたムクドリたちの群れと映像のコラボレーションが織りなすスクリーンの中を進み、現実世界へ送り出されます。
通り過ぎた先には、そのムクドリの下絵がプリントされたスクリーンにビーズなどを使って刺繍ができるワークショップのようなカウンターがあり、
現在進行形で制作に参加できるのかな? 面白い試みをしているようでした。

週末に予約が取れていたら、時間が許す限り半日かけてでもゆっくりじっくり通いたくなる内容でした。
ここまで気合の入った内容を無料で見せてくれる企画展はそうそうないので、ぜひまたやって欲しいです。

デザイナー

fukaminato

猫のために生きてますが、ネットがないと生きていけない

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